ピロティ
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「ピロティ」という建築用語が、2026年3月10日にXでトレンド入りした。きっかけは関東の小学校出身者による「ピロティが旦那に通じなかった」という投稿で、3540いいねを獲得。「知っている」「知らない」「吹き抜けとは言うがピロティとは言わない」など多様な反応が連鎖し、建築用語の認知格差が身近な話題として広く共感を呼んだ。

ピロティとはフランス語で「杭」を意味し、建物の1階部分が壁に囲まれず、柱だけで支えられた吹き抜けの半屋外空間のことを指す建築用語だ。近代建築の巨匠ル・コルビュジエが1926年に「近代建築の五原則」の第一原則として提唱したことで広まった。日本では国立西洋美術館(1959年竣工)や広島平和記念資料館(1955年竣工)などの代表的な建築物に採用されており、1956年から1970年の15年間に89件が建築雑誌に掲載されるなど、世界で最も早く普及した国の一つとされている。

今回の話題で浮き彫りになったのは、「ピロティ」という言葉の認知度が地域差よりも「通っていた学校にピロティがあったかどうか」という個人の環境差に強く依存しているという点だ。X上では「小中高大すべてにピロティがあった」という人から「大学生になって初めて出会った」「今日初めて聞いた」という人まで幅広い反応が見られた。また「吹き抜け」「ピロ下」など独自の呼称で代替されているケースも多く、同じ空間を指しながら言葉が異なるという状況も明らかになった。

一方、建築的な側面でも関心が高まっている。ピロティ構造は雨天時の活動スペースとして機能的に優れる反面、耐震性の低下というリスクが知られており、1995年の阪神淡路大震災では多くの被害が報告された。東京都は旧耐震基準マンションのピロティ階等補強に対する補助金制度を設けており、防災面での対策が進んでいる。身近な学校の思い出話から始まった話題が、建築の歴史や耐震問題にまで広がりを見せている。